お金は使わないもの勝ち

 

あの子はたぶん、4000円くらいのスマホケースを買った。可愛いね!と言いつつ、してやったな、と内心笑った。私は800円のスマホケースを買った。


たまに身につけてるものの金額の差で劣等感を覚えることがある。今年私はアラサーに足を踏み入れる。将来に対する漠然とした不安がある。学生時代もひたすらアルバイトしては好きなだけ使う、リボ払いに分割払いを繰り返して若干の負債を抱えながら好きなことをしていた。社会人になって、薄給とはいえさらにお金を得た私は今まで投資してこなかった自分への投資を始め、ここでもさらに好きなように使い早数年。貯金は雀の涙ほどである。これからは真面目に貯金していかないと、さすがにやばい。お金は急には増えない。コツコツ貯めるしかないからだ。これからはきっと不景気だ。必要最低限のものだけで生活していかないと、と思うと、たかだかスマホケースにお金かけている場合ではない。


もちろん私も質のいいもの、品があるもの、かわいい、おもしろい、高いけど欲しいものは山ほどある。最近ようやく気付いたが、欲が尽きることはない。欲と上手く付き合っていかなければならない。自分の収入を理解しておかなくてはいけない。たまにはご褒美いいでしょ、なんて繰り返しはもう卒業しなくては。そんなものは帰りに飲むスタバぐらいで満足してしまうのだ。いや、それすらも一口飲むともう興味がなくなる。知らず知らずのうちに買うことが目的となっている。だめだ。いい加減気付け。買った瞬間に満たされて、後は終わりだ。よく考えて、悩んで、何回も何回も見て、買うのだ。脳味噌をフル稼働させてハアハア言いながら手に入れたものは、それはそれはいいものだろう。


ちょっとぐらい高くてもいいだろう、それが積み重なって大きな支出となるのだ。買うのは悪である。今はそんな気持ちで生きている。どこをどう我慢して、というより、今手元にあるもので、どこまでやりくりできるか。あれが欲しいけど、もしかしてそれでもいいのではないか。そんなことを考えるのが楽しい。そして、それが上手くいってくると、私ってなんて頭が良いの、やりくり上手、その辺の何も考えてない子とは全然違う!頭使って生きてる!となる。性格がとても悪い。悪くて賢いと思う。それが私。